細胞の酸化を内と外から守る
抗酸化ビタミンEとC

- では酸化ストレス対策のもう一つの側面である、できてしまった活性酸素を減らすにはどんな方法があるのでしょうか?

吉野准教授体の中にはもともと、活性酸素を消去する抗酸化能が備わっていて、例えばスーパーオキシドディスムターゼ(SOD)といった内因性の抗酸化酵素や様々な抗酸化物質が酸化ストレスから体を守ってくれています。それに加えて抗酸化の能力を高めるには、抗酸化物質を食事やサプリメントで摂取すると良いでしょう。

- 抗酸化物質にはどのような種類があるのでしょうか?また効果的に摂取するポイントがあれば教えてください。

吉野准教授抗酸化物質として一般によく知られ、普及しているのが抗酸化ビタミンであるビタミンEとビタミンCです。これらは同じビタミンでも、性質や働き方に大きな違いがありますから、双方ともに不足させないことが大切です。その違いを細胞への働きとともに説明しましょう。


ビタミンE

脂溶性のビタミン。脂溶性のため細胞の中に入り込むことができ、細胞膜の酸化を内側から守る作用があります。抗酸化に働くことによって壊れてしまいますが、ビタミンCによって元に戻されるため、体内であまり減らないのが特徴です。

ビタミンC

水溶性のビタミン。抗酸化物質の中では活性酸素を消去する能力が抜群に高く、細胞膜の酸化を外側から守るなど、細胞外での抗酸化に働きます。ただし、体内にとり入れてもすぐに代謝され体外に排出されてしまうため、不足気味になりやすいビタミンです。

 

2つのビタミンには上記のような違いがありますので、どちらかといえば不足しがちな水溶性のビタミンCを積極的に摂取することを心がけるとよいでしょう。

細胞の構造と抗酸化物質の働き


- ビタミン以外でも、積極的に摂った方が良い抗酸化物質はありますか?

吉野准教授前述したように細胞膜の抗酸化はビタミンE・Cでほぼ対処できると考えられますが、細胞の内部には核をはじめ様々な小器官があり、それらを酸化から守るにはビタミンEの作用だけでは足りませんので、脂溶性のポリフェノールを摂取することも大切でしょう。

また、たん白質を構成するアミノ酸の中に抗酸化物質とされるものがいくつかあります。私自身の研究でも、魚肉たん白質に由来するアミノ酸で活性酸素の消去作用を証明することができました。魚肉に限らず動物性たん白質の摂取は抗酸化作用が期待できますので、なるべくお肉などの動物性たん白質を食べましょうといいたいですね。

- 毎日の食事内容によっても活性酸素の抑制に繋げられるということですね。
本日は酸化ストレスに対抗するための様々なヒントをありがとうございました。

Column青い光と活性酸素

活性酸素が身体に及ぼす影響について長年研究に取り組んできた吉野先生が現在着目しているのが、光と活性酸素の関係です。最近、青い光、ブルーライトは目に良くないと世間でいわれていますが、これはブルーライトにさらされた目の細胞に活性酸素が発生しダメージを受けるというのが一つの理由とされます。では、目以外の部位ではどうなのか? 歯科治療ではレジンという樹脂を固める際や歯を漂白する薬を活性化させるためにブルーライトを照射します。その時に歯茎や歯の内部の歯髄への影響を調べてみると、やはり活性酸素によって細胞が大きなダメージを受けるという結果がみられたといいます。吉野先生は歯の治療行為による活性酸素の影響について啓発するとともに、抗酸化物質によって細胞への傷害を抑制できないかというテーマで研究を続けています。

神奈川歯科大学大学院 歯学研究科 口腔科学講座
吉野文彦 准教授

略歴

1999年~2007年 神奈川歯科大学 生体管理医学講座(薬理学) 助教
2003年 同大 歯学博士
2008年~2010年 同大 生体管理医学講座(薬理学) 講師
同大 附属病院 アンチエイジング外来 医局長
2011年~2012年 同大 生体管理医学講座(薬理学) 准教授
2013年~現在 同大 大学院歯学研究科 口腔科学講座 准教授

主な各種委員など(2017年6月現在)

  • 一般社団法人 日本抗加齢医学会 評議員
  • 日本酸化ストレス学会関東部会 世話人

主な研究歴

  • 一重項酸素の血管平滑筋への影響の研究(1998年~2003年)
  • 咬合が酸化ストレスに与える影響の研究(2004年~2012年)
  • 唾液を用いた客観的歯周疾患評価法の確立(2010~2015年)
  • 二酸化チタン光触媒の臨床応用の研究(2003年~現在)
  • ブルーライトの口腔組織への影響の検討(2010年~現在)
  • 難治性口内炎に対する抗酸化物質の応用に関する研究(2010年~現在)